あなたの「筋トレ」は間違っているからやせない!―「×毎日やる」「×1日中やる」

「やせるための筋トレ」というと、つらい思いをして、重いものを一生懸命に何回も持ち上げなければ、と想像しがちです。ところが、「楽に感じながらボディメイクできる方法があります。筋肉が伸びるときに力を発揮する性質、エキセントリック収縮(ECC)を利用したトレーニング法『ECCトレーニング』です」と話すパーソナルトレーナーの比嘉一雄さんに、無理せずやせるための筋トレ法の是非についてお尋ねしました。

【20分以上走らないと脂肪は消費されない! というのは誤解】

■やせる筋トレは1週間に「2回」で十分

Q1:重たいものを「持ち上げる」ほうがトレーニングになる?

比嘉トレーナー × ダンベルなど重いものを持ち上げる筋トレは、筋肉を自分の意志で縮めています。でも、筋肉は引き伸ばされるときの動きにブレーキをかける作用、つまり伸びながら力を発揮する能力もあります。これを、トレーニング業界の専門用語で「エキセントリック収縮(ECC)」と呼びます。

ものを上げ下げする際は、下ろす方が楽に感じると思います。同じ重量がかかっているにもかかわらず楽だと思えるのは、ものを下ろす際は、筋肉が収縮するときの1.2~1.8倍の力が発揮されるからです。

しかし、使われる筋肉は少ないので、筋線維一本一本にとっては負担が大きくなるという過酷な条件になります。

すると体はこの条件にできるだけ早く対応しようとして、筋線維の発達を促して代謝も上がります。つまり、ものを下ろすようなトレーニングをする方が、やせやすい体を作るのに有利になるのです。

Q2:セット間のインターバルが長いと効果がない?

比嘉トレーナー × 筋肉を最も効率良く発達させるのに適した回数は、「最大筋力(やっと1回だけ上げられる重さ)の80%の負荷で、8~10回を1セットにして3セット行う」ことです。

一時期、セットの間隔、インターバルは、筋肉の成長を促すホルモンなどがより多く分泌されるために短いほうがいいと言われていました。しかし、長期的に見ると、インターバルの長短はあまり関係がないことが実験で分かっています。

また、インターバルがあまりに短いとエネルギーの供給が間に合わなくなるので、疲れてトレーニングの回数が減って効果が下がります。最大で2分半程度のインターバルを取るようにするといいでしょう。

Q3:早くやせるためには毎日筋トレをした方がいい?

比嘉トレーナー × 毎日行う必要はありません。むしろ、「毎日やってはいけません」と言いたいです。

筋トレを行うと、筋線維が小さな損傷を起こします。それが修復されるときに、筋肉が大きくなるのですが、回復させるには36~48時間の間をあけたほうがよいと言われています。

筋トレの頻度を「1週間に1回」、「同2回」、「同3回」、「2週間に1回」の4つのグループに分けて3カ月後に筋肉の発達度合いを計測する実験結果によると、最も成果が出たのは、「1週間に2回」のグループだと報告されています。

ですから、筋トレは「1週間に2回」で十分です。

Q4:筋トレで「部分やせ」は可能?

比嘉トレーナー △ 最近の研究では「可能性がある」という結果が出てきています。

筋肉が一定強度以上で収縮を繰り返すと、分泌されるホルモンがあります。それに含まれる物質は、炎症を抑える働きをするのと同時に、脂肪を分解する働きがあることが分かっています。

よく動かす部位にこの物質が分泌されるということは、筋肉が周辺の脂肪を直接、エネルギーに利用しているのではないか、という仮説が立てられています。また、適切な負荷をかけて動かしていれば、筋肉は張りを取り戻して引き締まります。

そういった意味でも、部分やせは「可能性がある」と言えます。

Q5:1日5分の筋トレだけでもやせる?

比嘉トレーナー ○ 十分です。一度に全身をトレーニングしようとすると、時間もかかって疲れてしまいます。効果的に体を引き締めたいのであれば、「1日5分、一部位」、筋肉が伸びるときに力を発揮するECCトレーニング(Q1参照)を行いましょう。

1セット8~10回ならば30秒ほどで完了します。3セット行っても、セット間のインターバルを含めて5分以内でできます。部位別に分けて、今日はスクワットだけ、次の日は背中、また次の日はおなか……、とトレーニングしましょう。

Q3の回答をご参考に、週に2回、同じ部位を重複して行えばいいのです。

「筋トレ=重たい、キツイ」というイメージが払拭できました。重たいダンベルを持ち上る、必死に汗をかいて筋トレするのではなく、1日5分、1週間に2回の「楽に感じるECCトレーニング」で、効率的に、しっかり体を引き締めましょう。

(松尾直俊×ユンブル)

監修・取材協力 比嘉一雄氏。運動、栄養、心理面もサポートするトレーニングの専門家集団「CALADA LAB(カラダラボ)」代表。月間延べ150人以上のパーソナルトレーニングを行う。東京大学大学院総合文化研究科博士課程に籍を置き、筋生理学の研究を続ける「ハイブリッドトレーナー」を自称している。著書に『痩せる筋トレ痩せない筋トレ』(ベスト新書)、『筋トレの基本』、『筋トレの王道』(いずれもエイ出版)などがある。http://caladalab.com/

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